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NOVEL小説
小説擬きのまとめ。挿絵付き。最後に裏話 (あとがき) があります。
- 小説
- 9
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- 5
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- 3
- 2
- 1
はじめに
- ★ X (旧Twitter) にて連投していた呟き形式小説のまとめです。
- ★ 当方not字書きです。諸々ご愛敬…。
- ★ コンテンツ毎に表記してあるとおり、ほとんどがパロディになっています。苦手な方はご注意ください。
- ★ 読了後の苦情に対してこちらからは何も応えられません。
『滅ぶ世界で生きる君へ』アルカヴェ🌱🏛️
※現パロよりもパラレルワールド系 人外、転生がある 🌱🏛️要素は微妙で怪しい
※人を選ぶ内容 暗めかも ビターエンドっぽい
細かいところは目を瞑ってください(いつもの)
🏛️視点
終末。ああ、週末じゃないぞ。そんな日常とはかけ離れた『終わり』さ。
『世界が滅ぶなら最期に何をする?』
特には何も。僕はいつも通りに過ごすんだ。
隕石が向かってくる、といったものではない。
…この世界には数多くの人ならざるものが存在している。そして今日が、その存在ごと『終わらせる』日だ。
少し脱線したけれど。僕はずっとここで生きているからさ、最期でも変わらず普段通りを選ぶ。
たとえこの先に明るい未来が無かったとしても。
「なぁ🌱、今日はこの肉を焼こうと思うんだ、って最期くらい本を広げるんじゃない!……なんだよ、そんなに睨まないでくれ」
彼は本とペンを置き、僕に問いかける。
「世界が滅ぶなら最期に何をする?」
その質問はもう何度目だっただろうか。
「いつも通りに過ごすさ。図面を描いたり、肉を焼いて食べたり、君と議論をかわしたりする」
「……その肉は人肉ではなく、議論は俺からの説得だとしてもか」
ご丁寧な指摘に、僕は困ったフリをして笑った。
「うん、そうだ。君たちと分かり合えないことくらいとっくに理解している。人間は人間を食べないことも、僕らが君たちを、君たちが僕らを消し去ろうとしていることも。…なぁ🌱」
もちろん望む答えは求めていないけれど。
「僕を殺せるか。人ではない、こんな翼を生やしている醜い僕を」
「君がそれを望むなら」
「🌱、本当に君ってやつは優しすぎる。だけど同時に、_____残酷すぎる。恐ろしい程にね」
人間の君が取るべきではない選択。委ねることは僕にとって都合が良くても、人間にとっては裏切りに値する行為であるのに。
「僕の監視レポートも今日が最後だろ、もう誰かに見せるわけでもないしサボっても良いんじゃないか?それより、最期のいつも通りを過ごしたい」
「……」
「僕に何か話を聞かせてくれないか?君が語るなら何だっていい、読んだ本でも夢でも実体験でも。…説得と思ってもらっても構わない。君が好きな議論をしよう」
そうして刻は過ぎていく。
本来共に過ごすことがないはずの2人が最期に見たのは、眩しい光とドロっとした暗闇だった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
数100年後。
「今から500年前、多くの異形が存在していた。そして人々は極めて強力な光熱を使用して暗黒で塗りつぶし、異形から文明まで滅ぼした」
僕は弁当をつつきながら、先程の授業と同じ内容を語る🌱に耳を傾けていた。
「君にしては珍しい議題だな。それ、さっきの授業で習ったけど」
「俺が興味を持っているのはその次だ。実は一冊だけ当時の文献が残っている。そのタイトルは______……」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
続き
🌱視点(過去)
美しいと思った。危険生物とされている被検体を。
彼を側で監視し、レポートを提出する。ただそれだけが俺の役目だ。
肉を与えると、彼は喜んで料理に腕を振るった。味覚に異常をきたしているのか、そもそも存在していないのか。それは人肉ではなく、畜肉だと気付かない。
「僕が肉を焼けば君は喜ぶんだ。わかりづらいけど」
前言撤回だ、両者ともに異なる。人肉ではないことに彼は、🏛️はとっくに気付いているのだ。
「人間との共生を目指すことは可能なのか」
もちろん人肉を食べる習性の時点で否と分かりきっている。
「難しいかな。僕も今すぐ君を食べて、この住処から飛び立ちたいくらいさ」
俺を殺すことなど十分可能であるのに、🏛️が何故行動に移さないのかはまだ分からなかった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
……どうやら政府はこの世界ごと滅ぼすらしい。そう聞いたのは決行日の1週間前だった。
俺はレポートの提出と同時にシェルターへの招待を受けた。一部の人間を対象とした、未来に希望を託すための手段。
「世界が滅ぶなら最期に何をする?」
🏛️はこう答える。いつも通りに過ごすんだ、と。
レポートにそのまま記す。いつも通り、時間は止まらない。
今度は🏛️がこちらに問いかけた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
俺は家に残る選択をした。最期まで制限がない読書を楽しむことにする。
これは🏛️の言う『普段通り』と同等の扱いになるのだろう。
『滅ぶ世界で生きる君へ』
これは残りの1週間を綴る記録である。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「どうしてこれが🌱の家にあるんだよ。それに最終日の分まで書かれた文献が何故残ってるんだ?壊滅したはずなのに」
「さあな」「しかもこれ、なんだか惚気話が多い気が…」
最終日のページにはこう書かれている。
『世界が滅ぶなら最期に何をする?』
『僕は普段通り君と過ごしたい』
最後の一文だけ、筆跡が異なっていた。
終わり
滅ぶ世界で生きる君へ 裏話(あとがき)
▸ (今回も)人を選ぶ話を書いてしまった……。ライトだけど久々の妄言で楽しかった!世界が滅ぶことになっても最期まで一緒に過ごして欲しい欲。舞台はテイワットも考えたりしてましたが、スメだけ滅ぶよりテイワット自体が滅びそう→アビス関連謎多すぎて分からんな……現代っぽいので行こう、になりました。未来でも🌱🏛️一緒だよ、というわけで(?)転生ということにしておいてくださいな。
2025.01.01
アルカヴェ haikaveh 🌱🏛️
人間×死神
※現パロ / 幻覚 / 前半アルハイゼン後半カーヴェ視点
生死に携わる用語多数あり 約束された勝利のハピエン
素人の妄想なので細かいところは気にしないでください。
↓
side: A
「……」
「……」
「空き巣か、セキュリティは万全のはずだったが」
「ち、違う!」
普段通りに定時退社を決め、帰宅するとリビングに見知らぬ金髪の男(声質から判断)が居座っていた。
周囲を見渡すと家具や本はきちんと私物で、確実に自宅である。荒らされた形跡はとくに無い。
「今の僕は金銭なんかに興味ないぞ!」
騒がしくて煩い。
「どちらにしろ不法侵入だ。警察の世話になると良い」
面倒ごとは避けるに限る。俺はスマホを取り出した。
「嫌だね。まぁ仮に呼んだとして、君の勘違いで済まされるだろうけど」
「勘違い…はぁ、まさか」
彼は自信に満ち溢れたようにこう言った。
「そう、一般の人間には認知できない存在だからさ」
自己紹介をしよう!と、こちらの返答を待たず勝手に名乗り始めた。
「その見た目で厨二病か。世も末だな」
「こら、僕は格好つけようとして信用を損なう過大発言を吐いてる訳じゃないぞアノレハイゼン」
名前を呼ばれ動きを止める。彼に名乗った記憶はない。
疑いの眼差しを向ける俺に、自称死神はこう続けた。
「君に伝えないといけないことがある」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
気が済むまでここに居座るつもりなら話ぐらいは聞いてやろうと飲み物の好みを訊いてみれば「僕は飲めない」と返ってきた。
物理的に触れることが出来ないとのこと。
彼は落ち着かない様子でそわそわとしていたが、やがて気まずそうに視線をこちらへと寄越す。
「単刀直入に話そう。今から三ヶ月後に君は命を落とす。所謂命日というやつさ」
あまりにも想定外な話題が来た。
彼は深刻そうに引き攣った表情をしているため、内容は全く突飛だが悪戯にしては場違いな光景に、つい未知への好奇心が擽られてしまう。
「根拠は?」
「上層部からは日付と死因しか聞いてないから、残念なことに僕自身は君が求める完全な解答を持ち合わせていない。因みに死因は事故だ」
「事前にわかっているなら防ぐくらいは出来るだろう」
「防げる事故なら、の話だよ」
俺は視線を送り、続きを促す。彼はくすくすと笑っている。
「なに、詳細を知りたいのかい?でもね」
カーヴェは一旦言葉を止め、目を閉じる。
そして再びガーネットを見せるやいなや、笑顔が抜け落ちたかのように一瞬で無表情に変わり、少し低い声で告げる。
「知らないほうが良いこともある」
「そ「流れを戻そう。僕は三ヶ月間君の担当を務める者だ」
それでも知る権利はあるだろう、俺がそう口にしようとしたことを先読みし、力ーヴェは意図的に声を被せた。
そして、また笑顔に戻る。
「……と、いうことで!
君にとってあと残りを感じない快適な“余生”をサポートしよう」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
命日が明らかになろうと別段日常は変わらず、ただ会話をするだけの同居人が増えただけだった。
カーヴェはこの家に身体ごとすり抜けて侵入したらしい。つまり
「買い物に行くなら僕を連れて行け!」
「はぁ」
家に縛られず外出が可能なのである。
流石に職場への同行は断ったが、私的な外出であればついてくる頻度が高い。物に触れられない制限で随分と暇を持て余しているのだろう。
同行することで外の物に間接的に触れられると本人は嬉しそうに話していた。
これは良いな、君の家に飾ったら映えるんじゃないか?
確か〇〇の残りが少なかったな、近くに良い店を知ってるから案内してやろう!
など、あれこれ執拗に話しかけてくる。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「僕は以前酸味の強いコーヒーを好んで飲んでいた。納期に追われている時は随分と世話になっていたよ」
「君にも生前とやらが存在するんだな」
「僕は生まれつきの死神じゃないからね。人として日常を送っていた時期はちゃんとある」
「……君は満足のいく人生だったか?」
「はは、それは……どうだったかなぁ」
覚えてないな、と寂しそうな顔に加えて少し影が入る。
どうすることも出来ずいつまでも迷惑をかけ続けるくらいなら僕も楽になりたいよ、その小さな言葉は誰の耳にも入らず空中に溶けて消えていった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「……この説に関して、君はどう解釈する?」
「まず、その筆者の説明は文面自体がまわりくどい。訂正しつつ僕の意見を述べていこう」
物に触れられないとは厄介だ。小さめの本を2人で身体を寄せ合い捲っていく。
育ちが良いのか即座に理解し、自分には無い面白い見解を聴かせてくれる。
過去に読んだもう手放す予定の本でもまた、きっと彼ならではの考えで応じることが可能なのだろう。
「君は普段からこういった本を好んで読んでいるのか」
「……物語よりも実用的だ」
実用的ってなんだよせめて好きだと言え。そういう彼はどんな本を好んでいるのだろうか。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「くそ!君にはわからないだろうね!」
カーヴェは声を荒げた。
俺と彼はよく意見がすれ違う。根本的に考え方が異なっている。
特にセンスに関しては真っ先に過剰反応をされる。今回もまた、
「はぁ、頭を冷やしてくる」
彼はそう言うと、奥の部屋へバタバタと急ぎ足で歩いていった。
それを他所に、俺は本を取り出す。
これももう日常茶飯事だ。
「うわ、なんで入ってくるんだよ……!一人にさせてくれ!」
「何故もなにも、用を足す場所だ。ここを選んだことは流石に恐れ入るよ」
「一人になれる場所として定番だろ……あぁそうか、僕じゃ鍵を閉めれないんだった」
「君に覗き見の趣味がなければ今すぐこの個室から出て行くと良い」
「はいはい、そうさせてもらうよ」
そう言いながら、カーヴェは普段と変わらずに扉をすり抜けていった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「機嫌を直すのが随分とはやいようで」
「何だよ、タイミングなんて人それぞれだろ!まぁ、僕は人間じゃないけど」
そうだ。彼は人間ではない。
あまりにも感情が豊かで、見た目も人間と大差がないため、こちらもつい忘れがちになる。
……そんな彼と過ごすうちに一つ、違和感を感じる点が目立ってきた。はじめは別段気にならなかったが、カーヴェはあまりにも最近の物事を『経験』していることがある。
外出が可能なら、情報を得るのは容易いかもしれない。
ただ、触れられないならまず『体験』は出来ないだろう。
例をあげるとすれば先日、
「この酒場は今期間限定メニューを出してるんだ!甘すぎず適度な塩加減で酒に合うし、恒常入りして欲しいくらい美味いからおすすめだ。君も気が向いたら食べに行ってみるといい。確か一ヶ月限定だったからあと一週間までかな」
せめて二ヶ月くらい欲しい!、と続けるカーヴェは恐らく気付いていないのだろう。隠そうと意識している場合、地頭が良い彼なら『美味い』ではなく『美味そう』と言葉を選ぶはずなのだから。
つまり彼が亡くなったのはつい最近、長くて一か月以内という説が立てられる。
これは後々全てに繋がることになる、カーヴェの"ミス"であった。
「ところで君は何故死神になっている。何か思い残したことでも?」
「随分と急だね。うーん、……ああ、そうだ」
彼はこちらを振り返り、こう口にした。
何処かでカタンッと何かが倒れる音がする。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
人には他人に干渉されたくない物事が存在する。かつて人間だった者もきっと例外なくあるのだろう。
過去についてをカーヴェにたずねてみてもはぐらかされるだけで、現状存在する矛盾点は変わらない。だから不躾を承知で自主的に調べてみることにした。
「力ーヴェ 建築デザイナー」
情報が多いほど真相に辿り着く可能性が広がる。期待はしなかったが名前で検索をかけてみると最上部の候補欄にこの言葉が並んだ。どうやら彼は業界では名高かったようだ。
とはいえ、命日などは特に書かれていない。あるのは活動場所であるアトリエの住所と連絡用アドレスのみ。
アトリエに何か手掛かりが残っていることを祈り、仕事帰りに駅の改札口を通る。
その時にはもう、好奇心の域を越えていたのかもしれない。
庭園に佇む小さな洋風の一軒家。扉にはclosedの文字が彫られた木製の掛札。家の中には人の気配は全くなかった。個人で活動しているなら何もおかしくはない。
「貴方も彼に依頼を?」
入口付近で手掛かりを探っていると、高齢らしき貴婦人から声をかけられた。丁度良い。
ここは最近閉まっているようだが、いつから?
とこちらから時期について聞いてみる。するとその貴婦人はこっそり小さい声で語り出した。
近所に住んでいる彼女はある日を境に彼の所在について尋ねられることが増えたらしい。そして、偶然アトリエに訪れたよそよそしい様子の人物に俺にかけた言葉と同じもので声を掛けてみたところ、彼女は以下のように教わった。
「建築デザイナーのカーヴェは現場の落下物による事故に巻き込まれ、今からおよそ一ヶ月間昏睡状態が続いており、現在もなお目覚めず延命治療を受けている」
彼は死者ではなく、まだ生存している…人間であったのだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
もう少し情報を集めておきたかったが、有力なものを手に入れたので日を改めることにして帰宅する。
「遅かったな。君が残業なんて明日は雪でも降るんじゃないか?」
彼は珍しがりながらいつもの通りおかえりと出迎えた。
「力ーヴェ、自称死神」
「うん?そうだな?」
「実体を持たない元人間」
「君、ただいまも言わず急にどうしたんだ?まるで事実確認のような……」
俺は戸惑う彼に構わず、続けていく。
「力ーヴェ、天才建築デザイナー」
「……っ!?」
「意識不明の重態、現在延命治療中」
「……、何を……」
「俺は現時点の情報から一つの仮説を立てた」
「やめてくれ、僕は……聞きたくない」
「三ヶ月。これは俺の余命でもあり、君の余命でもあった」
「……っ、やめろと言ってる!」
掴みかかろうとする手にも構わず、続ける。どうせ掴めやしない。
彼はそれを聞くと、まるで見えない何かに押さえつけられてしまったかのように項垂れた。
「……だと、しても」
カーヴェは涙を溜めて、ゆっくり顔をあげる。
「だとしても君には関係ないだろ」
「それは肯定しているように伺えるが」
「なんだよ、僕はただ……」 「ただ?」
「……っ。最期まで誰にも知られることなく終わりたかった……!
こんなことになるなら、君となんて出会わなければ良かったんだ!そもそも本来僕たちはこんなかたちで会うはずがなかったのに」
運命は思い通りにいかないようだ、と悲痛な声をあげる。
「いいや」
「俺たちは既に一度会っている」
それも、一度だけではない。
「そうでしょう?力ーヴェ先輩」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
かつて思考の違いで喧嘩別れをした元友人。
別れた時期と重なってアノレハイゼンは両親を亡くし、ところどころ記憶が飛んでいたため、先日家具の隙間に落ちていた写真立てを見つけるまで思い出せずにいた。
見た目や声質が成長してしまおうとも、今目の前にいる彼は……アノレハイゼンが知っている、自分より二つ歳上のカーヴェだったのだ。
「僕は記憶にない。人違いじゃないか?」
「事故で記憶障害を起こしている可能性もある。君は頭を強く打ち付けたらしいからな」
「それは、あるのかもしれないけど」
おずおずと彼はこちらを見る。
「アノレハイゼン。その、……君と僕の話を聞かせてくれ」
何か思い出すかもしれない。そう判断し、この言葉を選んだのだろう。
それに対して、俺はこう返した。
「今から提示する取引に応じるのなら」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
余命三ヶ月と告げられ『はいそうですか』と素直に受け入れる人間はそう多くはいないだろう。
俺もそのうちの一人だ。まだ読んでない本が山ほどある。死にたくはない。それに……いや、今のところはまだこれが理由でいい。
提示した取引は以下の通りだ。
・アノレハイゼンは分つ前の自分達について話すこと。
・カーヴェはアノレハイゼンの身に起こる事故についての詳細を包み隠さずそのまま正確に伝えること。
記憶を取り戻すために。身を守るために。
……事故に関してはアノレハイゼンだけではなく、力ーヴェも含まれている。アノレハイゼンが死ななければ、カーヴェも今のところ死ぬことは出来ないはずだ。
「均衡を保つために、まずは内容の項目を照らし合わせよう」
「項目もなにも、僕は時間と場所、君や周囲の行動ぐらいしか話すことがないぞ?」
「なるほど、ならこちらから出すのは1エピソードだな」
「おい、それ長さが君基準だとしたらあまりにも僕が不利だろ!」
「なら全て解決した後に聞きに来るといい」
それが君の心残りとなり、その後の死をとどまってくれたなら……とささやかながら願う。
「……それは本当に防ぐことが出来る事故ならの話だ」
「初めにも君はそう言っていたな。……君から話せ」
カーヴェは頷いた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「アノレハイゼン、26歳男性
〇月〇日〇時〇分、死亡
死因は不慮の事故による頭部の強打
現場は……"本人が存在する場所"」
「つまり確実に死ぬ。君も僕も、向かう場所は冷たい土の中さ。……発生元が不明瞭なのだけはよくわからないな。何か心当たりは?」
「俺は普段本を読むことくらいしかしないからわからない」
「そういうのじゃないだろうけど……。まぁでも君はぶっきらぼうなところもあるから、意図せず何かしらやらかしたりしそうだな」
「どうだか」
「そして、その周囲の人間だが……
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「もういいだろ、僕からの情報は今話したことが全てだ!さぁ、君の番だぞ」
「わかった」
気になる点は多々あるが俺の話の後でもまだ機会はあるだろう。
「君と出会ったのは俺が10になるくらいの頃だ。学年は違えどお互い図書委員同士で、気になった本をテーマによく議論していた。その内容を近くで聞いていた教師からの『もはやついていけない』との発言により周囲から『飛び級コンビ』と呼ばれていたな」
「ふぅん。まぁ、続けて」
彼はうずうずしながら続きを促した。
「君は俺には到底理解しがたい行動を度々繰り返していたな。人助けと称して自分を犠牲に傷つくことを選び、ありとあらゆる問題に首を突っ込んでいった。面倒だった」
「面倒ってなんだよそれ!まぁ君には理解できないだろうけど…。君の性格が今と変わらないとしたらあり得ないことかもしれないが、それでも少しくらい敬ってくれてもいいじゃないか、先輩だぞ!」
「それは難しい。俺からすれば、君は先輩と呼ぶにはあまりにも問題しかなかったからな」
その答えが気に食わなかったようで、カーヴェはキャンキャン吠えた。
そんな彼に、一つ例を挙げてやる。今思えば彼の行動としては大分異例かもしれない。ただ、何故か真っ先に思い浮かんだ。あまりにも不可解な事例だ。
「例えば、俺が女子から押し付けられたチョコレートを勝手に奪い貪っていたとか」
「先輩どころか人として最悪すぎる」
「その最悪なやつが君だよ、諦めるといい。……そして喧嘩別れの話だが」
「うん」
「これはまた次に」
「はぁ?気になって寝れないじゃないか!今話せよ!」
「却下だ。複雑な出来事だったから長くなる。
この話はここで区切りとしよう。何か思い出したことは?」
「はっきりとではないけどぼんやり……でも一つだけ思ったことがある。
僕は悪戯だとしても人のものを奪って困らせようとする人間ではないだろう、……僕自身はそう思ってる。チョコレートの話でもそうだ。そこから導きだせることとすれば、きっと僕は……」
「嫉妬するくらい君のことが好き、だったんだろうね」
もちろん友人としてだ!と付け加えた。
「俺も好きだったよ、友人として」
その言葉にそうか、とカーヴェは少し寂しそうな顔をした。
お互い、もう友人とは呼べないのに。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「こちらも一つ推測したことがある」
「それは?」
「事故の『元凶』はカーヴェ、君になる可能性が存在すると踏んでいる」
彼の呼吸が止まる。
「はは、何だって?よく聞こえなかった」
「事故の元「聞き間違いじゃなかったようで残念だ。いや、そんなわけ…!」
「これはまだ仮説だ。何故そう焦る」
「不確定要素だとしても焦るに決まってるだろ!むしろ焦らない人間を見てみたいね!それと、僕は君を恨んでいる訳じゃない!決して!」
「いや、逆だ」
「逆?」
「君は俺を連れて逝きたかったんだろう?」
「は……?」
「見る限り、きっと無意識の範疇。そうでなければらしくない。現時点での質問は?5秒だけ認めよう」
「5秒で話しきる奴が何処にいるだって?…質問以上に反論が大量発生してるけど、収集がつかなくなるから今はとどめておくよ。…僕が君を連れて逝きたがっている?……何故そんな仮説が立つんだ。理由くらいあるだろ?」
「君は事故を絶対に避けられないと言い、諦めるよう何度も促した。
俺の魂と引き換えに死を望むなら確実に成功させることを願うのだから、それに関しての理解は容易い。もちろん君らしくはないが。
君は俺がどのような事故にまき込めれようがどこにいようが魂を手に入れるその瞬間を把握出来ている」
「……嘘を吐いてないことを前提に、指示として原因不明と伝えられ、場所もうまく伏せられていてもなお、君は周囲について話した。
何故話せた?それは死神の特性なのか、先程のとおり把握出来ているから。
そして、余生をサポートすると理由を付けてすぐ近くで俺の生活習慣を確かめに行った。
当然推定時刻は俺の定時で、直帰する習慣。家に着くタイミングも毎度出迎える君は理解している。今日はだいぶ焦っていたな」
「君の行動は不可解な点がまだ数多くある。はぁ、俺は君の心情を含めた情報提供を乞うべきだった」
「それはまぁ……残念だったね。アルハイゼン、君にしては素晴らしい仮説だった。評価しよう」
「君はまだ生きることができる。なら死ぬべきではない」
「なんだ命乞いか、それとも情が芽生えたか?ならさっさと…」
「クライアントにトラウマでも植え付けるつもりか?」
「まだ言うのか。…できないんだ」
「?」
「元の身体に戻ろうとすれば電撃が走ったかのように弾かれる。何度試してもだめだった。…いつまでもこの状態で延命治療を続けさせるのは僕自身抵抗があって、」
「そうか、では命日までを君に委ねよう。どのように迎えるか興味がある」
「っ……いやだ」
「先程元凶が僕と言われたとおり、君を選んでしまったのはこちらだ。
僕の思い残したことは『罪滅ぼし』ではなく『喧嘩別れ』だから、連れて逝きたがっていると思われても仕方ない。
でも……自分のせいで君のこの先を奪うのは、嫌だ。だから確実に『君を生かす』ために事故について、今の特性を活かして調べた。
君に諦めを促したのは、何も知らず普段通りであったほうが助かるから」
「全て君らしい行動に結びついて安心した。……戻る方法について心当たりがある。断言は出来ないが試してみたいと思わないか?」
「それは?」
「君が心の底から生きたいと願うことだ。クライアントのためでも俺のためでもなく、君自身の意思で」
「生き……たい?」
「僕は……デザイナーとして多くの人を喜ばせたいと思っているけど、それも他人のため扱いになるのか?」
「戻れないならそうなんだろう。建築はどうした?自分の理想でさえ他人に引っ張られ「わからない……!僕は……」
「話を聞くに、君は人のために生きようとしている。ではそんな君に俺の生きたい理由を教えようか」
それは、
「それは君と余生を過ごすことだ」
「……現状維持じゃないか」
「君が目覚めたら、結婚しよう」
「は?」
彼は目を丸くする。したいではなくしようと言葉を選んだことに気付いたのだろう。
「っ何故そうなるんだ!僕は"好きだった"と言った!過去形だ!」
「君が今どう思っていようが変わらない、俺は友人としては過去形だが人間としては今も"好きだ"よ」
「な、な!?」
「君が少しでも嫌だと思ったら断り、俺の言葉は聞かなかったことにしてくれて構わない。無理強いをさせたい訳ではないからな」
勿論別の方法もきっと見つかるだろう。
「断ったらどうなるんだ」
「さぁ?」
「君が選ぶんだ。ここで大事なのは、俺のためではなく君自身でこの先を望むかどうか」
きっとこの関係も途切れてしまうのだろう。そんなの……でも……。
葛藤が全て声に出ているが聴こえていないフリをする。
「僕はその、結婚とかはまだ想像できない」
「そうか。ではこの話は無しにし「交際期間が欲しいって言ってるんだ!」
カーヴェは最後まで聞け!とキャンキャン吠えた。
「そうほいほい諦めるんじゃない!君の悪い癖だぞ!それに…僕も、その……今の君も好きだよ。これは君のためでも同情から生まれたものでもない。
僕は君とならその、人として生きてみたいと思った。…でもやっぱり不安なんだ。僕たちの友情は既に破綻している」
「君は過去に振り回されているのか?俺は既にこの先のことを考えているが」
「……あ〜もう!それを言われたら悩んでるのが馬鹿らしくなってきた。君は良いのか?僕は普段通りに騒ぐぞ!君が本を読んでいる時も隣で話し出して構い尽くしてやる!」
「それはそれで冥利に尽きる。君が思う最高の人生(この先)を保証するよ」
それを聞いたカーヴェの瞳から溢れた涙がぽろぽろと落ちていく。それらは全て床をすり抜けていった。
「もどかしいな……今の僕じゃ、君に指一本触れられないや」
「では一刻も早く目覚めることだな」
「……そうだね」
カーヴェの身体が透け始めた。
生きたい。想像通り、この意思がトリガーだったのだと確証され安堵する。
「ありがとう、さっきはああ言ってしまったけれど……また君に会えてよかった」
彼は最後にそう言い残して、そっと優しくその場から消えていった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
side: K
目覚めたら白い天井だった、なんて実際にあるもんだなぁ。
僕がナースコールを押すとすぐに医師一行が病室に駆けつけた。
問診を終え、スマホを取り出す。普段使いの鞄に入っていた充電器を繋ぎ、5%になると早速通話アプリを立ち上げた。一刻も早く君に会いたかったから。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
扉が開かれる。
「アノレハイゼン」
ベットの前に来た彼の腕を掴み、こちらへ引き寄せてそっと抱き締めた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
二週間後、僕は晴れて退院した。
「それで、記憶障害のフリはもうやめたのか?」
「う……騙してからかおうと思ってたんじゃない」
「なら何故?」
「思い出した君から僕の印象について聞きたかったんだ。正直嫌われてると思ってた」
でも逆だったのが嬉しくて、過去のことだと言われたのが寂しくて。
「過去に縛られている、そう君は言ったな。僕は君と違ってなかなか切り替えるのは得意じゃないんだ。それに、僕たちはあの時で止まってしまっていた。これでも君との絶縁はトラウマなんだ」
きっと簡単に捨てられることじゃない。
「捨てることを促したわけではない」
「ただ立ち止まっていた背中を押しただけだ。過去が重荷だとしても捨てるか捨てないかは自由だから、前へ進めるのならそのままでいい」
僕は僕のままであって欲しいとか言ってくれたら良いのに。流石にわがままか。
僕は床に積まれたダンボールの一つを開く。
「アトリエを手放して良かったのか?」
随分と立派な建物だっただろう。
「別に良いよ。今の時代、仕事はどこでも出来るしね。それに、あそこは僕一人しか居なくて寂しいんだ」
君と一緒にいたい、とは恥ずかしくて言えなくて……なんて、僕も君のことをとやかく言えないかもしれない。
「なぁ、これ覚えてるか?やっぱり押し花は長持ちするな」
「よく使っていた栞か」
「君はこの花を僕の髪に付けてくれたんだ。僕はこれも手放さずに進むよ」
死ななくてよかった。君とのいい思い出も触れることが出来る。そして
「ん……暖かい。……って、なんだシたいのか?元気だなぁ」
ほら、おいで。
君と、君に触れられる熱がすぐ隣にある……それがずっと続きますように、と願う。
おわり
人間×死神 裏話(あとがき)
▸ とあこい2DAY1の展示作品でした。小説は諸事情(後ほど記載します)で、現在は生産ストップしていて…でもDAY2と違う形式で出したい理由で久し振りに文を書きました。死生観!死生観!元気な時しか生産できない。
上記の諸事情についてですが書けなくなった!ではなくて、あまりにもパロディに突っ走りすぎていて果たしてこれは🌱🏛️と呼んで良いものなのか?と考えてしまい、手を止めて今は原作軸中心に活動してます。
今回のイベントを通して感想をいただけて元気になりました、ありがとうございます。書きたくなった時また書けたらいいな。
2024.02.24
アルカヴェ haikaveh 🌱🏛️
人間×魔法使い
※現パロ / 幻覚 / アノレハイゼン視点
素人の妄想なので細かいところは気にしないでください第七弾。
かきたいところしかかいてません。
↓
この世界には、生まれながらに魔力を持つ魔法使いと魔力を持たない人間が存在する。
ガタガタ、ガタン。バタバタ。
騒がしい物音と足音で目を覚ました俺は玄関へ向かい、音の主である人物に声を掛けた。
「随分と早いな、力ーヴェ」
力ーヴェ。国立の魔法学校に通っている魔法使い。隣の家に住む幼馴染。そして俺とは恋人関係にあたる。
因みにここは俺の家で、現在は彼と2人暮らしだ。
ただ、今の力ーヴェ自身には付き合っていた頃の記憶は無い。言ってしまえば、記憶喪失。
彼は俺との関係を “ルームメイト” とでも呼ぶのだろう。
「今日は朝から実習があるんだ。色々と準備しないといけないから……あ、まずい……箒、折れてるんだった」
「君のその華奢な身体にとって、良い運動になっていいと思うが」
魔法使いはただ魔力に特化している為、筋力が付きづらい。人間である俺と比べると、ご覧の通りだ。
「うるさいぞ…って、走れってか!?どれだけ距離があると思っているんだ!今日は大人しく移動魔法を使わせてもらう!」
「何故普段からそれを使わない?」
「これは魔力の消費が激しいんだ、あまり頻繁に使いたいと思わない。あぁ、そうだ。机の上に君の分のピタを置いておいたから、ありがたくちゃんと味わって食べるんだぞ!…じゃあ、いってくる」
「ああ、いってらっしゃい」
次第に霧が術者を包み込み、霧ごと掻き消されるように彼は姿を消した。
どうやら成功したようだ。彼は魔法使いとしては秀でているようだからこの言葉に対して「当たり前だ。失敗なんてありえない!僕は大魔法使い候補だぞ!」とでも応えるのだろう。
アラームよりも早く起こされた為、時間には余裕がある。顔を洗いに洗面所へ向かおうと玄関に背を向けると同時に、ガチャンと何かが落ちる音がした。
振り返り、音の出を探す。
「……これか」
先程力ーヴェが立っていた位置にこの家の鍵が転がっていた。金色のそれに付けられたライオンのキーホルダーは彼専用の証。
「まったく。鍵を落としていくな」
今日はあいつよりも早く帰らなければ不条理な小言をつけられることが確定した。……俺は普段と変わらず直帰するから特に気を使う必要は無い。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
こちらは朝早くからの用は無いし学校も遠くない。大魔法使い候補様の手作りピタを頬張りつつ読書を楽しみ、優雅な朝を過ごしてから、いつも通りの時間に家を出た。
学校が近くなると、大量の開かれた段ボールを手に登校する生徒がちらほら見える。ああ、そういえば近々文化祭がある。
俺は騒がしい行事は好きではないし、面倒ごとは避けていたが……。去年あいつから「文化祭?何だそれは!生徒が催しものを?お化け屋敷に屋台?絶対楽しいに決まって……え、昨日?何故教えてくれなかったんだ!はぁ…来年の文化祭は教えてくれ!僕も行きたい」と言われていたな。
仕方無い、帰ったら伝えてやるとしよう。
パンフレットは今日配られるのだろうか、と考えていると、背後から突然腕を掴まれた。
声を掛けてきたのは、兎のような大きな耳を持った友人・〒ィナリ。力ーヴェと同じ学校の魔法使いだ。
焦ったように息を切らしている。
「無事かどうかを答えるなら俺は無事だが」
その返しに、彼は「この時間じゃないのかな……」と考え込むように呟いた。
「質問の意図がわかりかねるが、その前に。〒ィナリ、本来君は今あちらの学校にいる時間では?」
「あぁ、そこは気にしないで。君が無事なら良かった。朝からごめんね、それと……もう一つ質問良いかな?……力ーヴェに変わったところとかなかった?」
「力ーヴェ?」
「うん」
「……箒が折れている以外は普段通りに見えた」
「そっか。うーーーん」
「はぁ、あいつはまた何か面倒事にでも巻き込まれたのか?」
「ちょっと……いや、だいぶ……ね」
〒ィナリは視線を泳がせた後、こちらを真っ直ぐ見据えて至極真面目な顔で答えた。
「このままだと力ーヴェの命に関わるんだ」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
俺は休み時間を上手く使い、学校を休んだと言う〒ィナリから話を聞いた。
まさかあいつが、そんな考えに至っていたとは。
配られたパンフレットを持つ手に力が入る。
他人に向けた慈悲で力ーヴェが死ぬ?それは許さない。
長く感じた授業に終わりを告げるチャイムが鳴る。
俺は最善策を練りつついつも通りに直帰した。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
夕食を済ませ、長期の課題から解放された力ーヴェに声を掛ける。
「力ーヴェ、今年の文化祭だが」
「文化祭?ああ、君の学校の!もう一年が経つのか……えぇと、日時はいつなんだ?」
「来週の土曜日だ」
「来…週……」
「力ーヴェ?」
「あぁ、いや。なんでもない!そういったイベントで人間の文化に触れてみたいと思っていたんだ。君はこういうの苦手かもしれないけど」
「ああ。興味無い」
「だと思った」
「だが、君の楽しんでいる姿には興味がある」
「はは!行きたいなら素直にそう言えば良いじゃないか!」
ご機嫌でパンフレットを開く力ーヴェは今日も普段と変わり無いように見えた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
いつも通りの帰宅路、非日常は突然訪れる。〒ィナリの言う“この時間”がやってきたのだ。
「アノレハイゼン!」
刃物を持った男が俺の名を叫びながら襲い掛かってきた。
直後、大気が小さく揺れる感覚…そして、霧が晴れるように視界が鮮明になる。まるで誰かが魔法を使ったように。
響くサイレンの音。そして、近くにはパトカーが止まっている。
割れた懐中時計の鎖を手に絡めた恋人が倒れていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
……答え合わせといこう。
刃物を持った男は俺に殺意を抱いており、信号待ちをしていたところを狙って殺人を犯そうとしたとのことだ。くだらない。一時の私怨で人生を棒に振るくらいならもっと生産性のある行動を選ぶべきだろう。
“今回”が何度目かは知らないが、あのお人好しのことだ。俺は毎度運悪く重体もしくは死体にでもなった可能性を推測する。
〒ィナリから聞いた話だと、どうやら力ーヴェの残りの魔力は規定値を大幅に下回っており、生命に関わる具合だったようだ。
それもその筈、膨大な魔力を要する“ループ魔法”を繰り返し使い続けるなど、自ら死に向かっているようなものだ。
事件から3日後、ようやく力ーヴェは目を覚ました。
「アノレハイゼン、良かった……無事だったんだな」
「はぁ……」
「その顔でため息を吐くな!その、君がベッドまで運んでくれたのか?」
「ああ。君のループ魔法については〒ィナリから聞いた。『記録に矛盾点があって気になったから調べてみたら、"この時間"に辿り着いた。そして力ーヴェ自身の魔力の消耗が激し過ぎる。まだ決定的タイミングは掴めていないけど、このまま続けてしまえば……』」
目を覚まさなくなる、と。
「何故周りに相談しない」
「僕個人が勝手にやっていたことだ。流石に……巻き込めないさ」
「そもそもループ自体、少なからず周りに影響が出るとは思うが」
「それも……そうだね。そこら辺は最低限にしたはずなのに〒ィナリにバレるなんて」
「そこまでして」
「僕はこんな性格だからな。放っておけないんだ」
「……。つまり俺が危機的状況に陥る度に君は繰り返すのか」
「そうだ。何度だって僕は君を助けるよ。だって僕は、君の……」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
勢いよく病室の扉が開かれる。
「アノレハイゼン!」
2年前、俺は左目を負傷した。意図的な魔法によるもの。
大事には至らずその日は検査だけで、数日様子見と言われただけで終わったが、力ーヴェは何かと思い詰めた表情をしていた。
「アノレハイゼン。今から僕は君に魔法を掛ける。いや、これは魔法なんかじゃない。……呪いだ。君の幸せを願う為の。僕のエゴだ。すまない。どうか、僕を許さないでくれ。君を愛してる」
後に調べたが、"それ"は……禁忌に近い魔法。術者自身の持つ大切な何かと引き換えに、対象に魔法無力化効果を付与するもの。大魔法使い候補程の魔力量だからこそ、使えた魔法だったのだろう。
彼は俺の額に掌を乗せる。次の瞬間、突如襲いかかってきた睡魔に抗えず意識を落とした。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「だって僕は、君の……」
その先の言葉を静かに待つ。
力ーヴェの瞳から涙が溢れた。
「はぁ……。俺には魔法が効かない。何かあったとしても直接効果は得られないからどうにかしたい場合は周囲を操るしか対処法が無い。時間を含む事象操作には多大な魔力を要する。そして君は既に限界が近い。
どうせ同じようなことが起こる度に何度も繰り返すんだろう?なら強制的に止める他ない」
「強制的に?何を…、!?」
力ーヴェの身体の輪郭をなぞり、腹部に辿り着く。
「は?正気か???人間と番ったら二度と魔法が使えなくなる!」
「理解が早くて何よりだ。君は自己犠牲が過ぎる。俺がいくら止めろと言えど止まらないだろう。そもそも君が俺と付き合っている時点で一線を超える可能性なんて大いにあったことには気付かなかったのか?」
「それは……!
……君は良いのか?その……今の僕は…ただのルームメイトでしかなくて」
「君は勝手に過去と認識しているようだが、俺は恋人関係を絶ったつもりはない。……そうだな、これは人間である俺が君に掛ける、最初で最後の魔法(呪い)だよ」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「本当に呪いだな」
力ーヴェはのっそりとシーツから顔を出した。
彼は手に力を込めてみる。もう、そこに魔力が集まる気配はない。
「魔法を使えなくなったなんて……全く笑えない。だってこれじゃ、君を守れないじゃないか」
「そもそも俺に使った無効化魔法は術者が存命する限り続くものだろう。つまり力ーヴェ、君が生きていることで魔法からは守れているんじゃないか?」
「う……何故君が詳しいんだ」
「調べたからね。呪いを掛けてまで君は俺の幸せを願った。そこまでするなら徹底的に幸せにするのがつとめ、というものだろう。中途半端だ」
「……君は今幸せ、というわけではないのか?」
「どう見える?」
「質問に質問で返すな!僕から見て君は、生きていれば幸せになれるだろうと認識していたが……。実のところ、物足りないと思っているようにも見える」
「……君は俺の幸せについて、きちんと知る必要があるようだ」
「君の幸せ、とは?」
「本が読めて面倒事が押し付けられない環境、君がすぐ隣にいる生活、平穏な日常」
「……つまり」
「君がいないと俺の幸せは成立しないんだよ、力ーヴェ」
「……不思議に思っていた。何故僕は自分の家がすぐ隣にあるにも関わらず君の家に住んでいるのか。ただ、疑問に思ってはいても出て行こうとは思わなかった。記憶が無くても僕は君と一緒に居たかったのかもしれない。
好きだよ、アノレハイゼン。好きだからこそ……恋人だからこそ、言いたいことがある。……最初で最後にするな」
「うん?」
「僕から魔力を奪った責任は一生モノだ。だから、その」
「君が欲しいのは責任としての仕方の無い愛ではないだろう?ただそのままを口にするといい」
呪いや責任なんて比にならないくらいのただ素直な愛が欲しい、と。
その願いは、元魔法使い力ーヴェが求める幸せそのものなのだ、と。
┈┈┈┈┈┈┈┈
文化祭当日。
力ーヴェは人混みの中心にいた。
「あのアノレハイゼンの彼女!?」
「いや、あれは力ーヴェさんだ!大魔法使い候補の!」
「サインください!」
どうやら力ーヴェ自身は有名人なようだ。魔法は使えなくなったが、魔法学校側のケアは万全なので、彼は学部の方向性を変え、今もそこに通っている。
「はぁ、やっと解放された……。僕はもう魔法使いじゃないのに」
「それは違う」
「え?」
終わり
人間×魔法使い 裏話(あとがき)
▸ 書き終わった後に視点チェンジで書き直したりイベント跨いだりしてめちゃくちゃ遅くなりました。やるやる詐欺回避。元は🏛️視点で書いていたものなので、矛盾云々見つかったら腹切ります。
もし🌱が魔法使いだったら間違いなく🏛️囲うだろ…と思いつつ人間になりました。特殊設定🌱も機会あれば挑戦してみたさはある。そして初描き🌿、耳描くの新鮮だった。
2023.07.26
アルカヴェ haikaveh 🌱🏛️
婚約者()×女装
※パロディ / 幻覚 / 女装 / 力ーヴェ視点
素人の妄想なので細かいところは気にしないでください第六弾。
かきたいところしかかいてません。
↓
フリルがたくさんあしらわれた可愛いワンピース。
借金返済の為に幅広い仕事を受けることにした。これもその内の一つ。
とある令嬢から『自分の代わりに許嫁との婚約破棄を促して欲しい』と依頼を受けた。
随分とその……、ハードだな。
その令嬢と相手は会ったことが無く、今回は初の顔合わせ…初対面、とのことだ。
ファミリーネーム以外は完全に任されている。
『初めまして、力ーヴェと言います』
もちろん男の僕が発声するのは御法度。
ペンを走らせてスケッチブックに言葉を並べていく。
アノレハイゼン。依頼主の許嫁…婚約相手だ。
整った美形。服の上からでもわかる鍛えられた身体。
全てを見透かしているような瞳。
見た目だけ見れば優良物件の枠に当てはまる男性である。
ただ……問題が一つ。
これはあり得ないだろう。人の目を見るどころか顔を上げやしない。
全く、不躾極まりない!……優良物件?ハッ前言撤回だ!
仮に僕が女だったとしてもこんな奴は願い下げである。
内心思うところを何とか堪えて対話を試みる。僕は大人だからな!
『……えっと、何の本を読んでいるんですか?』
「歴史的建造物に残る古代文字の研究について」
『おぉ、ぼ…えっと、私もそれ読んだことがあります。特に砂漠地域の建築に興味があって、壁に彫られた文字の有用性、関係性についての論文を書いていたことがありました』
「ほう……興味深い。では君の見解を聞かせて貰おう」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
……やらかした。お見合いではなく討論会だろこれは。
彼とは全くもって考え方が合わなかったため、終始意見のぶつけ合い……というか口論ばかりになってしまっていた。
婚約破棄よろしく展開だ!と思うだろう?……結論を言うと……また会う約束を取り付けられてしまった。
どうしてこうなった!?
もう一度彼と口論しないといけないのか!?嫌すぎるだろ!
次こそは確実に流されないように立ち回るしかない…何としてでも。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
そんな初対面から何日?何週間が経っただろうか。
……おかしい、こんな筈じゃなかった。討論会の回数が尋常じゃない。
なんなら効率を考えて双方手話を覚えてしまってまでいた。
『だから!君の考えには芸術的……創造的方面が欠けている!あえて直接的な表現を避けて暗号をデザインし、そこに残したという可能性もあるだろう!?』
「この部分の文字においての独創的な暗号使用に関しては現段階では特に複雑な手段の必要性は感じられないだろう。
仮に君の言う捻った創作関連を取り入れたとすれば、伝達効率に少なからず影響を受けてしまい、この当時の歴史は成り立たなくなる方向に転換してしまう確率が高くなる」
ああ言えばこう言う。こいつは頭が良すぎるんだ!
……別に頭が良いのは良いことだ。言っていることも正しくはあり、一理ある。
一理あるが!なかなかすっきりしないくらいには僕と彼は考え方というか思考の重心部分に大きなズレがあった。
それなら話題を変えれば良いのでは?……それはもう試した。
試したけど、圧倒的口数に天と地の差があった。
興味無いことにはとことん興味を持たない男なのだ。アノレハイゼンという奴は。
ふと彼と目が合う。もうニコニコ笑顔を向ける必要性なんてとっくにない。
『なんだ?思い通りにならない、思考が真逆な奴との密会なんて、読書を何よりも優先する君にはただ時間の無駄じゃないか?いい加減親の言いなりになるのはお互い報われないという考えくらい君だって持ち合わせているだろうに』
「俺はこの時間を有意義に過ごしていると思っているが、君は違うのか?」
『は?』
有意義?
『……なるほど、ストレス発散というやつか。君はすっきりするだろうけれど、僕は討論が好きという訳では無い。この際だから言っておくが、僕が全て正解を持っているとは言えないけど少しは同意とか…その……あっても良いとは思わないか?』
「君と俺は考え方に相違あれど、正解不正解を問う必要が無いところまで到達している。そして、俺が持たない意見で君は毎度楽しませてくれている。君の意見と俺の意見との相違点を照らし合わせ、より確実な考えを導き出すことは俺にとって喜びに等しい。
因みにだが、ストレスに関しては読書で発散出来ているから、君との会話をストレス解消の手段としては扱っていないと訂正させて貰おう。あとは、」
「婚約自体は他人から決められたものだが、俺は君となら_______」
最後の言葉の部分と重なって心臓が大きく鳴る。
笑………った?
あのアノレハイゼンが?
おかしい。……何もかも、全部だ!
だって、男だぞ?僕も、こいつも……。それなのに、なのに。
『え……』
アノレハイゼンは壁まで追い詰められた僕に更に迫ってきて、脚を入れる。まずい……。そこは、
「ッ……うぁッ!」
「ん?」
女性には無い部分。僕の弱い部分。
キッと視界を涙で滲ませ、彼を睨み付ける。
睨み付けたけど、気を抜くと涙が溢れそうになり、僕はアノレハイゼンの頬を叩いて、その場から逃げ出した。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
バレた。絶対にバレた。
許嫁が男でしたなんて、婚約破棄も時間の問題だろう。
これで当初の予定を完遂出来る。よかったな僕……!
でも、……なんだか泣きたくなった。
だって、あの仏頂面の中に時折垣間見える優しい視線も、お堅いしいけすかないけどなんだかんだで会話も行動も……普段わかりづらいけどリードというか実は導いてくれているところとか、そしてまるで恋人を求めるように甘く僕の名前を呼ぶ声とも、もうさよならなんてそんなの……
「……嫌だ」
その答えに僕自身も驚きを隠せない。あんなに意見が合わないしいけすかない奴なはずなのに。
自分の性になんて悩んだことはなかった。でも、僕は……
__________アノレハイゼンの側に、もっと居てみたいと思ってしまったのだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
夜の繁華街。僕は暇ですよ感を出しつつスマホを弄っていた。
援助交際……俗に言うパパ活。手っ取り早く稼げる、少し刺激がある仕事。
「君可愛いね。これでどう?」
スーツ姿の男性が指を立てながら声を掛けてきた。見た目は……僕とはだいぶ歳が離れてそうだな。
悪くない本数に頷き、男性の後ろに着いて行く。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
目の前には、いかにも怪しいホテル。
「ちょっと待て!食事だけだと言っただろ!?話が違う!」
「一瞬だから大丈夫だよ、気持ちイイことをするだけだから」
「は、離せ!やだ……!」
腕を無理矢理引っ張られ、引き摺り込まれそうになったその時、
「その手を離して貰おう」
聞き慣れた声がすぐ側から聞こえた。
何が起こったのか、僕は声の主…アノレハイゼンの腕の中に収まっていた。
心臓の音がうるさい。アノレハイゼンが何かを言い放つと男性はそそくさと去っていった。
どのくらい時間が経ったのか、数秒?それとも数時間?……彼は僕をそっと離した。
「やはり君は声が出せるんだな」
「……」
あぁ、ついに聞かせてしまった。失望…しただろうな。
怖くて彼の顔が見れない。
「何故このようなことを?」
「……好きな人がいるから」
やめろと心の中にいるもう1人の僕が言う。でももう止まれなかった。
「でも僕は男で……!同性同士なんて結ばれる訳が無いだろう!?だからッ……!」
借金を返して、お金を貯めて性別適合手術を。
彼は息を呑む。少しの沈黙。そしてそっと口を開いた。
「誰だ」
「え?」
「君の想い人は何処の誰だと聞いている」
「き、君には関係無い…!」
「許嫁の俺と関係が無いとでも?」
「う……そもそも、この関係自体が依ら…」
僕の言葉は最後まで紡がれることはなく、再び抱きしめられる。次の瞬間、彼はとんでもないことを口にした。
「そんな奴はやめて俺にするといい」
「……ッそれは駄目だ…!君には男の僕なんかよりもっと可愛らしい女性が似合う!」
「力ーヴェ」
「……ッ」
視界が霞む。……こんなの、こんなの隠し通せる訳がない。
アノレハイゼンは続ける。
「好きだ」
その言葉に、驚きと嬉しさで感極まって、涙が次から次へと溢れ出てくる。
もう僕の顔はぐしゃぐしゃだ。
その夜から、僕は女性になることを辞めた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「最初から僕が男だって気付いてたってことか!?!?」
「ああ。君は隠し通せていると思っていたようだったが」
「だったら言えよ!!!!僕で遊ぶな!!!!」
「言えば婚約破棄に持っていくだろう?」
「と、当然だろ!」
「却下だ」
「はぁ。それで、本来の君の許嫁はいいのか?素敵な女性だったじゃないか」
「俺は君が良い」
「う……浮気は許さないからな!」
数日後、僕の知らないところで借金が全額返済されていたのはまた別の話で。
終わり
婚約者()×女装 裏話(あとがき)
▸ 早いものでもう6作目…。女装、性別云々の壁、私の癖。フリフリワンピ🏛️、絵柄の関係もあって完全に女子になってしまいましたとさ。生えてるところは生えてるので男です…。
そして口論書くの楽しかった。知識部分は全くの素人なので深くツッコまないでくださいこんな依頼なんてないとかも知りません。
2023.06.07
アルカヴェ haikaveh 🌱🏛️
アンドロイド×病弱サイボーグ
※現パロ / 幻覚 / 力ーヴェ視点
(力ーヴェ実装前)
素人の妄想なので細かいところは気にしないでください第五弾。
かきたいところしかかいてません。死ネタありのハピエン。
↓
これは人間になりたいロボットの物語である。
「ふふっ、上手く描けた」
晴れた海辺の公園。木陰に座っていた僕はスケッチブックを掲げる。
すると、背後から聞き慣れた声が聞こえた。
「……」
不満そうに彼は僕を見る。まぁ言いたいことはわかる。
「外出許可は取ったよ、それに今日は調子が良いんだ」
無理も無い。僕は生まれつき身体が弱く、本来は病院から出ることが叶わない患者なのだから。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
重い機械の両脚を動かすのにはもう慣れた。
アノレハイゼンと並んで病室へ戻る。
アノレハイゼン。彼はアンドロイド……僕の介護ロボットだ。
最新の技術が搭載されているらしく博識であり、中身も見た目も生身の人間と差を感じられない。
何故か性格が捻くれてはいるが……まあそれは置いておいて。
「君の持ってる本、その……古代エジプト史……?図書館から借りたのか。君はロボットなのに本を読むなんて随分と古典的だな」
「趣味だ」
「ふぅん」
そう言って僕はベッドに腰描ける。
「久し振りに外に出れて楽しかった」
「外出時は俺に連絡が入る筈だったが?」
「そういえばそうだな。バグか?」
「それはない」
何処からその自信が来るんだ、そう言おうとして出てきたのは
「げほっ」
掌に広がる赤色、そして鉄の匂い。
それに気付いたアノレハイゼンは僕に駆け寄る。
「力ーヴェ、」
「ははっ、やっぱり今日は駄目な日だったのかな……」
その後彼が呼んだのであろう主治医が飛んできて、僕の様子を診ていく。
「力ーヴェさん、この前移植した心臓ですが________」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
目を覚ます。一定の感覚で波打つ心拍。
心臓が機械になっても人間なのか。
いつもの白い部屋なのに気持ちは落ち着かなくて、ロビーの椅子に腰掛ける。すると、突然声が聞こえた。
「あら、今日はアノレハイゼンと一緒じゃないのかしら」
声の主は日頃からよく僕に声を掛けてくれるおばあさんだった。
「おばあさん。こんにちは」
「こんにちは」
隣良いかしら?と聞かれたのでどうぞと返す。
「彼は今主治医とお話しています。いつものように顰めっ面で」
「あぁ…あの子は昔からそうなのよ」
「昔?」
「ええ。あの子は小さい頃から、心配事があると真っ先に不機嫌な顔をするの。でも優しい子なのよ?私の自慢の孫。ただ感情表現が少し不器用なのかしらね」
それからおばあさんとは世間話をしたが、僕の思考はアノレハイゼンのことで埋め尽くされていた。
「アノレハイゼンが人間……?」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「君は、人間なのか?」
部屋に戻って早々に問うと、アノレハイゼンはページを捲る手を止めて本を閉じる。
「ああ。生物学的には人間にあたる。何故それを?」
「君のおばあさんから聞いた。何故黙っていたんだ」
「君の精神状態と心臓に負荷を掛けたくなかったからだ」
「だからって……人間だということを否定されるのは君だって悲しいだろう……」
「俺は自身の性格上機械のようだと言われることは少なくはない。故に特に何も思っていない」
「君ってやつは!……僕には分からないな」
ふとロビーでのおばあさんの言葉が脳裏に浮かぶ。
「力ーヴェくんは何があっても自分を見失っちゃ駄目よ。貴方は誰が何と言おうと貴方だから」
きっと人生の大先輩である彼女には僕の悩みなんて筒抜けだったんだろう。
大丈夫。僕は人間だ。人間なんだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
神様は意地悪だ。
上手く喋れなくなった。舌が痺れたままで回らない。
手話は覚えてないため筆談だが、手の震えで歪な文字になる。
美しくない。そんな歪な字でもアノレハイゼンは上手く読み取ってくれたようだ。
「最近薬を増やしただろう。その副作用だ。一時的なものだからすぐに回復するだろう」
副作用……。痺れでここまで来るのは厄介だが、仕方ない。仕方ないけど、なかなかきついな。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
真夜中、用を済ませてから部屋に戻るために廊下に出る。
その途中で僕の部屋とは反対方向から聞き慣れた声が聞こえた。
彼らは何かを言い合っている。
アノレハイゼンだ。彼の目の前には白衣の男性_____主治医は告げる。
「力ーヴェさんの余命ですが……________」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
暗い。ただ暗闇を歩く。全部夢、夢……だろう?
躓いて転ける。そして蹲る。
込み上げてくる苦味。
焼ける喉。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
スケッチブックには歪な文字が増えていく。最初のページのように細かな絵は描けない。
その事実に絶望した僕は最初のページから破っていく。
ビリビリぐしゃぐしゃパラパラ。
次々と破いては紙片に変えていく。
そして現れたアノレハイゼンが描かれたページで僕の手は止まった。
「う、うぅ……」
しゃくり上げながら涙を流す。が、
突然廊下から焦ったような大きな声と多くの足音が聞こえた。
「アノレハイゼンさんが________!」
「!」
どうやらアノレハイゼンと主治医が激しく殴り合っているらしい。……なんで?
頭が真っ白になったにも関わらず、とにかく僕は居ても立っても居られなくなり、震える身体を振り絞ってベッドを這い出る。
しかし、上手く脚が動かずそのまま床に打ち付けられた。
「う……あ……」
きっと僕のせいだ。止めなきゃ……、でも……なんだか、視界が……
┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「力ーヴェ」
アノレハイゼン?どうして暴力なんて……。
「ああ。あの医師が新薬投与で君に微弱な毒を盛っていた事実を指摘したら、憤慨した彼が手を出してきたため正当防衛を行なっていた。君が心配する程の怪我は無い。今頃取り調べを受けているだろう」
「ア……エ……」
掠れた視界。彼は今どんな顔をしているのだろうか。
力が抜けていく。
「……」
アノレハイゼン、君から見た僕はちゃんと人間であっただろうか。
最期の言葉は音にはならなかった。
┈┈┈┈┈┈┈┈
目を覚ます。
クリアな視界に映るのは真っ白な天井。
「目を覚ましたか」
「アノレハイゼン?」
言葉を出せるし身体が軽い。そしてかなり自由がきく。
これなら駆けまわることや細かい作業だって出来そうだ。
「僕は死んだのか?」
「生命活動は確かに停止した。だがこちらとしては、君が本来持つ柔軟で優秀な思考と発想力を失うのは惜しい。従って君の脳細胞を使わせて貰った」
「つまり、今の僕は」
「アンドロイド、と呼ばれる類だ」
その言葉に僕はカッとなりアノレハイゼンに掴みかかる。
「つまり機械ということか!?こんなことをしてまで僕の人間性を否定するな!こんなの僕は望んでない。ただ生きて、死んで、そして生まれたかった…!」
「君は自由を願ったが、それ以上に人間でありたいと?」
「勿論さ。機械的な身体で過ごしてきたから尚更」
「……今のその身体には現在の最先端技術が組み込まれている。更に生命体に近付けるにはまだ時間を要するが、君が望むなら俺は君を人間にしよう」
「……正気か?そもそも人間を作り出すなんて禁じられているだろう」
「これは個人的に研究しているだけに過ぎない。世に広めるつもりは無いから問題は無い」
「問題だらけだろ!それに……君は僕を壊して、"無かったこと" にすることも出来る」
「わかった。なら俺が君を壊す前に約束を果たす保証を提示するとしよう」
するとアノレハイゼンは僕の左手小指に銀色の指輪を通した。
「は……?」
「入籍するまでの婚約期間の平均は半年から一年とされている。一年後、君が人間として完成すると同時に籍を入れよう」
「……。5点」
「……はぁ」
「君は段階を飛ばし過ぎだ!因みに断った場合は?」
「一年後という期限を失うだけだ。君が断ったとしても、俺は君を壊すことは無いよ」
「なら……、前言撤回だ。君のプロポーズはマイナス値を下回っている。良いか?プロポーズの言葉には相手に向けた自身の想い、そして未来を託し託される了承を貰いたいという旨と姿勢が必要だ。やり直しを要求する。僕からの返答はそれからだ」
そう返してやると、彼は僕の目をまっすぐ見た。
「今回俺が取った処置は、苦しむ君を救いたいと考えた結果だ。俺は君の身体が機械だとしても君が力ーヴェであることには変わり無いと認識しているが、君の願いであれば全て叶えてやりたいくらいに君を想っている。
あのアノレハイゼンが僕に対して想像以上の感情を抱いていたことに驚く。
「僕はその、君と同じくらいの想いを返せるかはまだ自信が無いが……。でもあの殴り合いの件では本当にヒヤヒヤした。君が無茶をしないように見張ってはやりたい」
「どちらかと言えば君の方が無茶をしているとは思うが」
「う……」
「それで、君はどちらなんだ」
「えっと」
答えは決まっている筈なのに口に出すことを躊躇った僕は、アノレハイゼンの顔に近付き、唇にそっとキスを落とした。
「……僕にも手伝えることがあるなら教えて欲しい」
これは人間になりたいロボットの物語である。
終わり
アンドロイド×病弱サイボーグ 裏話(あとがき)
▸ 死ネタに挑戦しようとしてハピエンっぽくなってしまった…。内容に病みながらちまちま描いてたらわりと日付が経ってました。ボロボロになっていく推しは可哀想で可愛い。🏛️の両足義足は動脈血流の関係で壊死したという設定です。
いずれぶち当たるであろうスワンプマン関連は(私が)大好きなので、是非2人で討論して欲しい。
2023.04.19
アルカヴェ haikaveh 🌱🏛️
軍人×ストリートアーティスト(敵国同士)
※パロディ / 幻覚 / 力ーヴェ視点
(力ーヴェ実装前)
素人の妄想なので細かいところは気にしないでください第四弾。
かきたいところしかかいてません。シリアスであまり甘くはないです。
↓
痛み。そして、
「お前!またよくもこんなところに描きやがって!」
苦しみを憶えている。
「俺達までお前みたいな反戦主義野郎と見られるなんて真っ平ごめんだ!」
「っかは!」
これでもかというくらいに殴られる。意識が飛びかけた拳の後、僕に唾を吐いて数人の男達は去っていった。
僕は画家だ。
表現に限度なんてない。あってたまるか。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
重い身体を引きずって、帰路につく。
……戦争、紛争、闘争。ただそこにあるのは、無惨に破壊される大地と失われゆく命。
「……ただいま」
ただ自分の声だけがぼんやりと吸い込まれていく。誰も居ない家、のような倉庫。……僕に家族はもう居ない。
室内に踏み込むと同時に疲労が押し寄せてくる。僕は抗えずそのまま毛布に包まり、そっと意識を落とした。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
夢を見る。
焦げ臭い匂い。
老若男女の泣き叫ぶ声。
そして、
目の前で消えていく光。
僕は非力で武器さえ持てず、ただ茫然とその場に立ち尽くしていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
……最悪な目覚めだ。のろのろと立ち上がり、水を浴びる。
そして服装を整え、鏡に自分を映す。
「僕だって、戦える。大丈夫」
そう呟き、画材と小さなパンを手に外へ出た。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
複数の足音が聞こえる。響く銃声。
「くそっ!」
がむしゃらに走った。走らないと、逃げないと殺される。
何故この街に敵軍がいるんだ!しかも出くわすなんて。全く、ツイてない。
「はぁ、はぁ……。流石にもういないか」
恐る恐る振り返る。誰もいない。
ほっとひと息吐いて、前を向くと……。
「え……」
脳の処理が追い付かず、思考が停止する。
目の前には敵の軍服を身に纏った……、
「その服……もしかし……!?」
僕の言葉を待たずにアノレハイゼンはこちらに向けて銃を構える。
「ま、待ってくれ!僕だ!力ーヴェだ!」
名前を出したが彼が銃を下ろすことはなかった。もしかして覚えていないのか?
すると次の瞬間、彼はとんでもないことを口にした。
「……力ーヴェは死んだ」
「は?」
「あいつは、もういないんだ」
「いや、いるけど」
どうやら僕は死んだことになっているらしい。
「僕は死んでない。勝手に殺さないでくれ」
やれやれと両手を顔横に上げる。
「……本当に力ーヴェなのか」
「ああ、そうだとも!僕が力ーヴェだ」
「力ーヴェはあの時瓦礫の下敷きに」
「ああ、 “あの時” か……まぁ死は覚悟したさ。君と別れた後、奇跡的に助けて貰えたんだ。だから今も」
なんとか生きているよ、と笑ってみせると彼はようやく銃を下ろした。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「それにしても、あのアノレハイゼンが軍人か」
「君は一般人か」
「一般人という呼称はもう少しどうにかしてもらいたいが、僕は戦争と戦っている」
「ほう。まだアレを描いていたのか」
「もちろん。今日はこの街で描こうと思ったけど、運が無かった。君ともこんな形じゃなくて穏便な再会をしたかったさ」
「……壁に描かれた君の絵」
「え?」
「あれは君に相応しくない」
「は!?なんだと!!!きっと君は芸術ってものがわからないんだろう!それに……僕には、絵しか無いんだ!僕は……!」
「君は苦しいんだろう」
「苦しい……?」
「君は俺と同じだ」
苦しみながら戦っている。
彼と別れた後も、ずっとアノレハイゼンの言葉が頭にこびりついて離れない。
だからだろう。僕は背後に忍び寄ってくる影に気付けなかった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
僕は力ーヴェ。画家だ。そして今日から捕虜になった。しくった、最悪だ。
きっと拷問尋問労働だろう。まだ死んだほうがマシだったかもしれない。
看守らしき人物に連れられて、これから訪れる未来に比例するように暗い施設を進んでいく。
そして突き当たりの角を曲がろうとした瞬間、後ろから強い力で肩を掴まれ、引っ張られた。
「え……」
「被れ。顔を見せるな」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
何故か僕は明るい部屋に連れて来られた。
「……アノレハイゼン。何故僕を助けた?」
「君の技術が必要だからだ」
「はぁ、バレたらどんな目に遭うか君はよくわかってるだろう?」
「歯でも抜かれるんじゃないか?」
「歯だけで済むなら……いやいや、抜歯を甘く見るな!乳歯を抜くだけでも痛いんだぞ!」
「はぁ……」
アノレハイゼンはため息を吐くと、何かを取り出す。
「はい、これ」
「筆ブラシ?」
「君の武器だ」
「……僕には似合わないんじゃなかったのか」
「それは絵の内容だ。君の芸術は認めている。ただ苦しみながら作るのは勿体無いと思っただけだよ」
「言葉が足りなさすぎるだろう!」
「描かないのか?」
「描く!」
僕はアノレハイゼンの手からブラシをひったくった。
想像以上に手によく馴染み、驚いた僕は手元を凝視する。
それは瓦礫に埋まったあの日、僕が使っていた少しだけよれているブラシだった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈
やはりどの国でも非反戦を支持する者がいるらしい。
僕は国に帰らず、いつものように壁に絵を描いていた時だった。
最初はギャラリーの声だと思っていた“何かを叫ぶ声”がどんどん大きくなる。
流石に近すぎないかと思い、後ろを振り返った。
「あ……」
振り返った瞬間、水気を帯びた赤い絵の具が舞う。
いや違う、僕は今赤を使っていない。……そんな。なんで。
「アノレ、ハイゼン?」
胸元から禍々しく光る刃を生やしたアノレハイゼンが僕を庇うように立っていた。
そう言い残して、彼は崩れ落ちる。
そこから先は、憶えていない。
ただ残っているのは痛みと、苦しみだけだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈
……
999
┈┈┈┈┈┈┈┈
……アノレハイゼンの将来の夢は言語学者だった。
「あいつは何故、学者ではなく軍人になることを選んだのか」
あの自己中心的な奴のことだから何か相当な理由があるのかもしれない。
もしかしたら、普段から反戦を謳っていた僕の影響だったりとかもするのだろうか。
仮に、もし……そうであったならば、
「現実的な効率を考えたまでだ、とか言いそうだ」
あいつは頭がよく切れるから、軍の中でも高い地位を目指せる。
上に行けば行くほど発言や行動の影響力が大きくなる。
未来がある奴なんだ。だから、
「世界を変えてやってくれ、なんて君の口には似合わない。それに、君に言われなくとも変えてやるさ。だから、……さっさといつものように起きてくれ」
┈┈┈┈┈┈
この一週間で変わったこと。
事件をきっかけとして、僕の絵の知名度が上がり、話題になっていること。
国境を超えた飲み仲間が出来たこと。
この一週間で変わらなかったこと。
あの事件から眠ったままの彼がまだ目を覚さないこと。
刺しどころと出血多量でギリギリだったが、奇跡的に一命は取り留めていた。
「アノレハイゼン」
そろそろいつものように「なんだ」とか返して欲しい。
今日の僕は普段より少し疲れていたのかもしれない。つい、ムキになる。
「アノレハイゼン、憶えているか?“あの日”の前日に僕と大喧嘩した時のこと。君が噛みついてきた傷、実はまだ残ってるんだぞ!痛かったんだからな」
そう言って、今度は僕がアノレハイゼンの首に噛みついてやる。僕と同じ苦しみを抱いているなら、同じ痛みも憶えておくといい!なんて思いながら。
「ははっ仕返しだ!悔しかったら……」
すると、ものすごい勢いで身体ごと引っ張られる。
気が付けば彼に抱き締められていた。
あまりの驚きに腰が抜ける。
「アノレッ…ハイゼン、生き…、ッうぅ〜…!」
涙が溢れて止まらない。伝えたいことがたくさんあるのに、何一つ出てきやしない。
「君のせいだ!君が……いや、生きてくれているお陰だ。その……ありがとう、アノレハイゼン」
「……夢を見ていた。“あの日”から俺の時間は止まったようだ。現実世界に君がいないと突き付けられるようで目を覚ましたくなかったが、君の声が聞こえた。……俺も君が生きていてくれて嬉しいよ」
┈┈┈┈┈
痛み。そして、苦しみを憶えている。
「君と話したいことがたくさんあるんだ!聞いてくれ!この前……」
その中に生まれる小さな光。
今日も僕は武器を取る。忘れられない痛みと苦しみが、このどうしようもない世界を光で塗り変えてくれるように。
終わり(エンド 999)
┈┈┈┈
おまけ
🌱「……首が痛い」
🏛️「だから仕返しだって言ったじゃな…いたたたた噛むな!!!!仕返しに仕返しをするんじゃない!!!!!聞いてるのかアノレハイゼン!!!!!!」
軍人×ストリートアーティスト 裏話(あとがき)
▸ 🏛️は死んだと思い込んでいた🌱が筆ブラシを遺品としてずっと持っていたのが書けて満足。🌱の戦闘シーンを入れれなかったことが心残りではあります。軍人要素は捕虜になった🏛️を自然に助けるところと刺された場所致命的だったけど体力あるから何とかなったぜのところで活かせたくらいだったので…。
ハピエンかバドエンか迷って取ったアンケの結果は999でしたが、000だった場合はこの物語自体が🏛️が見ている夢の続きだったというつもりでした。結局は正夢なので現実でもこの展開通り進みますが、流石に事件起らないかと。もしかしなくてもハピエン不可避。数字の元ネタはアレですアレ。
2023.04.08
アルカヴェ haikaveh 🌱🏛️
大学生×宇宙人
※現パロ / 幻覚 / アノレハイゼン視点
(力ーヴェ実装前)
素人の妄想なので細かいところは気にしないでください第三弾。
かきたいところしかかいてません。セ/が出ます。
↓
大学からの帰り道。最寄駅から自宅へ向かう。辺りは暗く人通りも少ない、馴染みある通りを進む。
今日も普段と何も変わらない。……変わらないはずだった。
自宅の前に人が転がっている。それもピンポイントで邪魔な所に。
目を凝らすとそれは、みすぼらしい身なりをしていた。……正直関わりたくない。俺は本の続きが読みたい。
視線を避けて強行突破しようとすると、不意に足を掴まれた。
「おい、離せ」
「……ア……い……。ひもじぃ」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
結局引き剥がせなかった。部屋の明かりを点けることで不審者の姿が明瞭になる。金髪の女…に見えたが、声からして男だった。
こちらが声を掛けても母音とひもじいしか返ってこなかったので、仕方なく俺の夕食予定だったカリカリチキンバーガーを差し出す。受け取った彼は嬉しそうに勢いよく頬張った。……ようやく本が読める。
「ありがとう。君が優しい奴で助かった」
「……ああ」
「おい君、会話の時は本から目を離さないか!相手に失礼だろう!」
「俺は今忙しい」
「は?……あッ!その端末を離せ!君それで警察を呼ぶ気だな!?あれは面倒なんだ!」
彼は焦りながらズカズカとこちらに近付き、スマホを俺の手から奪い取った。
「明らかに不審な上にうるさい。続きはここではなく他所でやってくれ」
「君ってやつは……!前言撤回してやる、君はたいへん自己中心的で厄介な地球人だ!」
「地球人、とは妙な呼称だな」
「しまった、口が滑った」
「……」
「あーッあーッ!話す!話すからその受話器を下ろしてくれ!僕はキ/コン星から来た力ーヴェだ!」
「……病院にも連絡を入れるべきか」
「おい、僕が頭おかしいみたいに言うな!」
「はぁ。仮に君が別の惑星から来た事が事実だとして、それを証明出来るのか?君の姿は俺達と変わりがなさそうだが」
「ふ、ふん!キ/コン星は地球の環境と大差はないからな!……強いて言うなら、泡を撃てるくらいか」
「蟹だったか。では海に帰ると良い」
「違う!!!くそ、じゃあ見せてやる!」
おとぎ話で出てくる妖精が魔法を使うように、力ーヴェは人差し指をクルッと一周させる。
すると水の膜が生まれ、それは
「もごっ!!!」
力ーヴェを包み込んだ。
そしてパンッと弾けて消滅する。びしょ濡れの自称キ/コン星人から水が滴り落ち、床を濡らす。
「はぁ、やっぱり地球では上手くいかないな……」
「なるほど、これは地球上では不可思議現象だ。ふむ、興味深い。泡を撃つとはまた違うが」
「う、うるさい!これで分かっただろ!僕は正真正銘キ/コン星人だ」
「君が地球外生命体であることは認めるとしよう。……それで、異星人が何故地球にいるんだ。何か目的でもあるのか?」
「よくぞ聞いてくれた!僕は地球を侵略するために来た!」
「……泡を撃てないのにか」
「故郷ではちゃんと出来てた!う、嘘じゃないぞ?」
「……」
「何だその目は……!フンッ、いいだろう!僕が侵略出来ることを証明してやる!君は震えて泣いて待つと良……」
言い終える前に、突如力ーヴェはその場に崩れ落ちる。
「う……」
もしやと思い、額に手を当てる。……酷い熱だ。寒さを感じるのか、小刻みに震えている。
「はぁ……」
結局その日はいつも通りが叶わなかった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「まさか君に世話になるなんて」
「俺は病人を追い出すまで非人情ではない」
2日後、ようやく安定した力ーヴェは俺のベッドで本を読んでいた。
「君が夢中になって読んでいるからどんな内容なのか気になってたんだが、まさかこんな現実的で堅苦しいものを読んでいたとは。ああ、別に否定はしてないさ。好みなんて人それぞれだ。僕とは違うってだけで」
「はぁ、電車で読むから返してもらおう」
「出掛けるのか?」
「うん。俺は無職な君とは違って大学に通っている」
「う……。僕だってさっさと侵略したいが下準備が必要だし、好きで無職をしている訳じゃない。働くのも、その……住所が無いだけで」
「……家事をするだけで十分な生活が送れるといった、今の君に好都合な場所を知っている」
「何だって?」
「知りたいか」
「勿論」
その答えを聞いた俺は腕を組んだまま告げる。
「俺は住居を提供する。そして君には家事をしてもらう」
「君のことだ、何か裏が……。というか学生だろ!?養えるのか?」
「お互いのメリットを考えたまでだ。君が家事をすればその分読書の時間が増える。そして俺は学生だがある程度の蓄えがある。1人増えたところで生活が苦しくなることがないくらいには」
「本当に本が好きだな……」
「それでどうする?と言っても君は断れないだろう。鍵ならそこにある」
「わ、分かった。家事をすれば良いんだな?その……、世話になる」
「ああ。では時間だから行ってくる」
「い、いってらっしゃい」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
非日常はやがて日常となる。
力ーヴェは異星人ということを忘れるくらいに、地球の生活に馴染みすぎていた。
「おかえり!夕食の準備が出来てるから手を洗ってきてくれ」
「うん」
このやり取りが日常と言えるようになってきた頃、俺の中で ”ある問題” が浮上した。
……同居人が妻に見える。
力ーヴェは生物学的に男だからこの表現は適切ではない。
だが考えてみてほしい。一瞬女性と見間違う見た目、出迎え、見送り、手料理、そして今では弁当付きだ。これが日常になってしまっている。
そしていつしか、俺には力ーヴェが必要不可欠だと感じるようになっていた。
力ーヴェの額にキスを落としてみる。
「アノレハイゼン?いきなりなんなんだ」
「……挨拶の一種だ。知らないのか?」
「え?……い、いや!知っている!故郷ではやらなかったから驚いただけさ!」
真っ赤に染まった顔に満足して今日も日常を過ごしていく。この生活は今ではもう手放しがたいものだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
それは本棚を掃除していた時だった。
本に挟まっていたのか、小さく折り畳まれた紙が落ちる。
その瞬間、頭を殴打されたような衝撃が走った。
「うっ」
「アノレハイゼン、どうした…!?大丈夫か!?」
力ーヴェが俺の異変に気付き、慌てる。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
10年前。
近所の公園、葉桜の木の下にあるベンチに座って本を読んでいた。
当時同年代に馴染めなかった俺はクラスメイトからのいじめ(ただ暴言を吐かれているだけなのであまり深刻ではないと思っている)に遭っており、……勿論相手にしていないが、普段からよく絡まれていた。
ただ今日はいつもとは違うらしい。
「おい!何をしてるんだ!」
目の前で見慣れない金髪の少年がクラスメイトから俺を庇うように間に立っていた。
金髪が何かを言ったのか、クラスメイトはそそくさと去っていく。
「君、大丈夫か?怪我は?」
「……無い」
「それは、良かった。……いじめなんて全く……地球人にも性格の悪い奴はいるな」
「?……君も地球人ではないのか?」
「僕は力ーヴェ。キ/コン星人だ!……あ、しまった口が滑った。今は視察中なんだ!な、内緒にしてくれ!バレたら大変で……」
「別に、話す相手は居ない」
「そうか。じゃあ、僕の話し相手になってくれないか?」
体感は半年。ほぼ毎日、公園のベンチで力ーヴェと話していた。彼はよく喋る、そしてよく口を滑らせる。
俺はキ/コン星について論文を書けるくらいには詳しくなってしまっていた。
そして共に桜の開花を見ることはなく、別れは突然やってくる。
……今なら分かる。それは忘却薬だった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「中身は空だが何故……。ただの紙切れだぞ、普通は捨てるだろう!こういったものが残っていると薬の効果が半減するんだ。まさか君、思い出し……」
「ああ、たった今思い出した。君がお喋りなのは昔から変わらないな」
「……ッまさか」
その言葉に力ーヴェは嫌な予感を察したようだ。
「今の俺はキ/コン星の『秘密』を知っている。あの時の君が話したんだ。それで、どうする?」
「やっぱりな!脅しか!?卑怯だぞ!」
「君の自業自得だ」
「う……。君はその『秘密』をどうするつもりだ!僕は今忘却薬を持っていないから、君を消さなければならない。僕はその……地球人を……君を殺したい訳じゃない」
「なら交渉だ。君は俺に何を差し出す?」
「…ッ!……僕は何も持っていない。でも君が望む事なら何でも考えるから『秘密』だけは……!」
「なら、君を貰おう」
「な!?」
「……心までとは言わないが」
「身体だけ欲しいってか!?最低だ!」
「身体以外もいずれは貰う。いや、堕とす」
「言葉選びがなんか怖いぞ君……。まぁ『秘密』が、キ/コン星の生命が守られるなら僕の身体なんてどうってことはない。……好きにすると良い。身体以外はまぁ、君次第だが」
そして彼の手を取り、寝室へ向かう。
「……本当にするのか?やっぱり考…」
「キ/コン星は実は「あ〜〜〜!やるぞ!早くおっ勃てろアノレハイゼン!」
「はぁ。股間と話すな」
俺は力ーヴェをゆっくり押し倒し、共にシーツの波に溺れていった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
そんな初めてから二ヶ月。
「アノレハイゼン、その……。いっぱいぎゅっとするやつ、してほしい」
「ぎゅっとするやつ、とは?」
「〜〜〜ッッッ!いつものやつだ!言わせるな!」
彼の身体は既に陥落している。嫌悪感も特に抱かれていない。
そろそろ頃合いだろう。明日の夜に力ーヴェ侵略を決行するとしよう。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈
花見としては遅い時期だ。所々葉桜が広がっている。
久し振りに2人で出掛けることにした。少しでも今夜の成功率を高めたかったというのが本音だ。
力ーヴェが好きそうなレストランで昼食を終え、歩きながら景色を楽しむ。
「葉桜も美しいが、満開の桜も見たいな。キ/コン星には桜が無いんだ」
「花弁が散ると読書に集中出来ない」
「君ってやつは……!」
彼がいつものセリフを口にした次の瞬間、凛とした声が響く。
「力ーヴェ」
反応するように視線を動かすと、声の主であるだろう褐色肌の少年が立っていた。
「セ/!?何故ここに?」
「連れ戻しに来た。やはりお前でも駄目だったか。力ーヴェ……時効だ、帰ってこい」
「……ッ!」
力ーヴェの表情がこわばる。
「お前も異星人か」
俺の言葉にセ/はこちらを睨んだ。
「地球人……なんだバレているのか。なら消えてもらう」
セ/は一体何処から出したのか、槍を構えてとてつもない速さで俺を目掛けて接近する。
その矛先が触れようとした時、力ーヴェの泡シールドが展開され攻撃は当たらず中断された。
「地球人を庇うのか、力ーヴェ。己の役割を思い出せ」
「地球人にも厄介な奴はいるけど、でも全員がそうじゃない!それに今は、地球人とキ/コン星人が、互いに手を取り合って仲良く出来たらって……思うんだ」
「……それで、どうするんだ」
「僕は地球侵略計画を阻止したい」
「……もしかしたらと思ってはいたが。はぁ。分かった、やってみると良い。上の奴を上手く説得出来るかはお前次第だがな」
どちらにせよお前を連れて帰ることだけが俺の任務だ、とセ/は続けた。
「わかった」
力ーヴェは頷く。続けて、力ーヴェの目は俺を映す。
「アノレハイゼン、僕は帰らなくちゃいけない」
「……そうか」
あの時と同じ”別れ”だ。
「でも……待っていてくれ。僕は必ず戻ってくる。それまでどうか、息災で。……僕は、君を愛してる!」
┈┈┈┈┈┈┈┈
あれから1年が経とうとしている。
「アノレハイゼン」
久し振りの愛しい声に呼びかけられ振り返る。
終わり
大学生×宇宙人 裏話(あとがき)
▸ ギャグ要素多めを書きたくて、おふざけで宇宙人にしました。🌱視点でキ/コン星のことをあまり書けなかったので、ここで少しばかり補っておきます。
地球と大差無いキ/コン星、そこに住むキ/コン星人は自分達より少しばかり能力が劣る地球人を奴隷として使うために、地球侵略計画を企てる。🏛️️は侵略者の一人として育てられた。地球を侵略するとキ/コン星人達が幸せになれると教わっており、努力で身に付けた知識や能力が認められたため、🏛️は二番目の侵略者として地球に送られる。空腹で倒れてたけど…。
『秘密』はキ/コン星最大の弱点で、言われの通りやってのけるとキ/コン星が消し飛ばされるとかで滅ぶらしい(特に何も考えてない顔)。今ちょうど桜の季節なので、描写を入れてみました。二人でお花見してくれ。
2023.04.02
アルカヴェ haikaveh 🌱🏛️
貴族×従者
※パロディ / 幻覚 / アノレハイゼン視点
(力ーヴェ実装前)
素人の妄想なので細かいところは気にしないでください第二弾。
かきたいところしかかいてません。
↓
付き合いで訪れた奴隷市場。そこで静かに輝く宝石を見つけた。
一目惚れ、というものだろう。
「現時点の最高額の倍を出そう」
これが彼との初めての出会いだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「おいアノレハイゼン!いい加減起きないか!」
「……。」
朝日に加え、光に反射した金髪が目に染みる。
力ーヴェ。あの日奴隷市場で購入した奴隷、そして今は俺の専属従者として側にいる。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「丁度今日で君がここに来て2年か、早いな」
「よく覚えているな。僕は2年前なんて思い出したくもないが……ん?この山は、君宛の見合い写真か……。これはこれは、美人が沢山いるじゃないか!まぁ僕も負けてはいないな!」
「勝手に見るな」
「じゃあ机の上に積むな、掃除が大変だろう!全く」
いつものように突然怒り出す力ーヴェを他所に、俺は見合いの断り文句を探していた。
力ーヴェと一緒になる為に。
彼に好意を伝えたことはない。あまりにも身分が悪すぎることを主な理由として挙げておく。貴族と奴隷が恋愛など、まるでおとぎ話のようだ。勿論おとぎ話にするつもりは無い、故に計画を立てている最中である。
だが……。
持ち前の理論で様々な物事……面倒事を上手く立ち回っていた俺だが、やはり家柄には敵わないらしい。今日も決定的に言いくるめることは不可能だった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
予定を全て終わらせ、自室に戻る。読みかけの本はベッドの上に置いたままだったはずだ。続きを読むとしよう。
そう考えながらベッドに向かうと、そこには金色が広がっていた。そして、くぅくぅと一定の控えめな呼吸。
寝顔を覗き込む。黙っていれば美人という言葉が大変よく似合う。この男は奴隷にさえならなければ不自由の無さそうな生活が送れていたはずだ。勿論そうであれば俺と出会うことも無かったかもしれない。
端正な寝顔を眺めていると、ふと、金色がぴくりと動く。
「ん……」
そしてゆっくりとガーネットが姿を現す。それは少し視線を遊ばせた後、俺を映し出した。
「アノレハイゼン?」
目を合わせた瞬間、微かな電流と共に理性が崩壊する音が聞こえる。気付けば俺は、力ーヴェに跨るようにベッドに乗り上げていた。
「ちょ、おいやめろ!強姦だぞ!そもそも僕は男だ!おい!アノレハイゼン!」
「……うるさい」
抗議の声は静かに吸い込まれていく……。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「変態!腰痛い!動けない!」
「韻を踏むな」
無茶をさせすぎたことは認めよう。彼も俺と同様、初体験だったようだ。
「理性で出来ているような君がまさかね。欲求不満ってところか?」
「俺は君が好きだ。だから抱いた」
「直球過ぎないか君……。何だ、奴隷(僕)からの愛が欲しいのか?それは駄目だぞ。……貴族は貴族同士結ばれるべきで、その方が自然だからな」
「力ーヴェ、」
「……っ!はっきり言おう!僕は君が嫌いだ!自由になりたい!こんなところ、ただの鳥籠でしかない!今すぐ出ていってやりたいさ!」
「俺のことは嫌いでいてくれて構わない。そう言われても、俺が君を好ましく想っていることに変わりはない。振り向かせるまでだが」
「前向き過ぎる!……でも君のそんなところが好きだ。……僕だって君が好きなんだよ!くそぅ…。!?」
その嘆きの続きを、口で塞いでやる。それしか涙を止める方法が思い浮かばなかった、とでも言っておこう。
「ぷはぁッ……はぁ、はぁ、……。……僕は奴隷だ。貴族と奴隷なんて一緒にはなれない!」
「貴族でなければ良いのか?」
「い、良い……とまではいかないが……まぁ、貴族よりはまだ自由だろうな」
「分かった。なら俺は家を出よう」
俺の覚悟を耳にした彼はただ目を見開く。そして信じられないとでも言いたいような表情で口を開いた。
「正気か?恵まれた環境を……捨てるのか?」
「俺には君がいれば十分だ。一緒に来てくれないか?」
彼に手を差し出す。しかし、彼は手をだらりと落としたままだ。俺が失うものを思い、躊躇いがあるのだろう。
「君は自由になりたいと言った。君がどのような空で羽ばたくのかを傍で見てみたい。そして俺の空白を君の自由で埋めてくれ。俺はその自由ごと君を愛そう」
そして翌日、俺達は鳥籠から飛び出した。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
母国を出て、遠く離れたとある港町に越してきて1年が経つ。
「アノレハイゼン!見ろ!噂の酒だ!仕事場で貰ったんだ!」
俺も力ーヴェも無事定職に就き、喧嘩は…まぁ絶えないが、穏やかで自由な生活を過ごしている。お互いの左手を、今日も眩しく輝かせながら。
終わり
貴族×従者 裏話(あとがき)
▸ 禁断の恋良さげ!と唐突な衝動で、身分が離れた2人を書きました。🏛️は自分よりも🌱含む他人を優先に考えるだろうタイプなので、(描写は入れてないけど)普段から自分の欲を隠そうと躍起になっているとかありそう。実際は全く異なるかもしれませんが、実装前だから許されたい。
自由を見せてやろう!と上から目線(?)な先輩台詞を言わせたくて…。入れれて良かったです。🌱は自分の理想に対しての不安要素を取り除くためなら思い切ったことを出来ると思ってるので、家を出てもらいました。割とサバサバ、でも🏛️への想いは重め。やはり私は一見隙が無いように見える🌱の不足分を🏛️が埋めるという設定が好き。
2023.03.28
アルカヴェ haikaveh 🌱🏛️
小説家×絵師
※現パロ / 幻覚 / 力ーヴェ視点
(力ーヴェ実装前)
素人の妄想なので細かいところは気にしないでください…。
↓
僕はとある小説(シリーズもの)の挿絵の依頼を受けている。
数点は提出済みだが、相手側……小説家から「気になる点があれば遠慮無く言ってくれ」と言われたので素直に指摘をした。
それが始まりだ。口論の。
メールでのやり取りだったが、拉致が開かないので小説家とは直接会って話し合うことになった。場所は小説家の家だ。
ゼン。リアリティある描写を得意としている著名作家だ。お堅い文章を書くやつがまさかこんなに顔が良いなんて。
いつもの笑顔を向けながら、名刺を交換する。
「本名で活動しているのか」
「ああ、僕はこの名前を気に入っているんだ」
挨拶もそこそこに、早速本題に入ることにする。
「今回のこの描写だが、やはり納得いかない!単調すぎる!」
「人間なら反射でこのように行動するだろう」
「君は!勿論反射的行動も大事だが!感情というのも人間を行動させる理由になる!」
「感情で行動させるには時間が足りないと思うが」
「フィクションを知らんのかリアリストめ!」
開幕はこんな感じだ。
話し合いもとい口論は数時間続く。
「全く、チェンジだチェンジ!僕が原作者になる!」
「そうか、では試してみよう」
「は?」
「君が挿絵を描き、それを俺が言語化する」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
そして数日後、また僕らはアノレハイゼンの家で口論を繰り広げていた。自慢じゃないが、今では本名で呼ぶ仲だ。アノレハイゼンの響きが心地良くて、文字数が多くてもついそちらで呼んでしまう。
「だからって全箇所修正とかおかしいだろう!」
「作家には修正が付き物だ。そもそも君も同じようなことを俺に要求していたが」
悔しいことに、僕が原作でも変わらなかった。考え方が根本的に違う。
そもそも、
「君は恋愛をしたことが無いのか?」
「無いが」
「好きな女の子とかは?」
「特には」
「……」
あまりにも、恋愛経験値が無い。
何故この話(恋愛はメインではないが描写あり)を書くことになってしまったんだ。そしてリアリストにフィクションは難易度高くないか?
「今夜出掛けるぞアノレハイゼン!緊急合コンだ!」
「……」
こうして、僕主催の臨時合コンを開くこととなった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
メンバーは男性3人(僕とアノレハイゼンともう1人)と女性3人の計6人。高校の時のクラスで募ったご無沙汰メンツ。場所は室内装飾が豪華なバーだ。
「君がアノレハイゼンくん?」
1人の女性がアノレハイゼンに近付く。よし、このまま行け!良い感じになれ!
少し話した後、その女性が
「アノレハイゼンくん、私ちょっと寒いなぁ〜上着貸して欲しいなぁ〜」
と上着を強請る。それに対してアノレハイゼンは、
「いやいや、そうじゃないだろ!!!」
「うるさいぞ力ーヴェ」
このように、度々繰り広げられるアノレハイゼンの恋愛面不器用さをつまみして、僕はいつもより速いペースで酒を入れた。
……結論から言おう。合コンではなく、ただ僕が出来上がっただけの飲み会だった。
「酔っているな」
「酔ってない!」
アノレハイゼンの肩を借り、支えられながら帰路に着く。
「帰路か。終電は1時間前だが」
「??????」
どうやら口に出ていたようだ。
……そこから記憶が無い。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
頭が痛い。
「起きたか」
「!?!?」
目覚め、からの美形は心臓に悪過ぎるだろ。男の僕でも驚く。
「ああ、ここは……君の家か。世話になった」
どうやら終電を逃した僕はアノレハイゼンの家で寝たとのこと。しかも堂々とベッドを占領して(家主はリビングのソファーで寝たらしい)。
「丁度良い。朝食を持ってくるから原稿の確認をしておいてくれ」
「ん〜」
原稿の束を受け取る。
アノレハイゼン、アナログだったんだな。いつも話し合いに使う原稿は印刷したデジタル文字ばかりだったから新鮮だ。
彼の達筆な文字を読み進めていると、ふと、あるセリフに目が行く。
『寒いのか?俺は大丈夫だが』
「駄目だろこれ!!!!!!」
ヒロインに上着を貸せ上着を!主人公は君じゃないんだぞ!
こうして今日も口論が始まるのだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
さて。突然だが……、僕は恋をしたらしい。しかもあのアノレハイゼンに。
きっかけは何だっけ……そうだ、あの時だ。
いつものアノレハイゼン宅での話し合い。別件で徹夜続きだった僕は睡魔に抗えなかったことがあった。
何時間寝ていたかは思い出したくないが、目が覚めた時、アノレハイゼンの上着が僕に掛かっていたのだ。
あのアノレハイゼンが?
その日から、彼を意識し始めた。同性に恋愛感情を抱くなんて都市伝説だと思っていたが。
他の案件でも、特に男性を描く時は骨格とかアノレハイゼンのものを意識してしまう。駄目だ、集中出来ない。
「そうだ、息抜きを描こう!」
「……今日は寝よう」
あともう一つ言っておく。癖も恐ろしいぞ、と。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
数日後、恋に悩む僕とはよそに、事件は起こった。
「なななななな!??????」
あのアノレハイゼンが今まででは考えられない恋愛描写力を発揮した。
「どうしたんだ君は……恋愛なんてしてないだろう?」
なのにこの描写……。ちゃんと恋を……している。
「恋愛はしていないが、モデルを見つけたんだ」
「モデル?」
「恋をしている側の人間を参考に書いた」
「なるほど」
偉いぞ〜と彼の頭をわしゃわしゃ撫でてやる。それと同時に、自分の恋に不安を覚える。
アノレハイゼンと恋愛は厳しいのではないか、とか。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
僕がアノレハイゼンに告白出来るはずなく悩みは払拭されないまま月日は流れ、ついにこの日を迎えてしまった。
シリーズが完結、したのだ。
「完結おめでとう!」
編集部を交えた打ち上げが終わり、すっかり……
「会う理由が無くなってしまった」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
そんな中、ある話が持ち上がった。
「アニメ化?」
そして今日はその打ち合わせの日。アニメーターを含めた制作陣が集う。勿論僕とアノレハイゼンも呼ばれた。
「久し振りだな、アノレハイゼン」
「力ーヴェか」
そう言ってから彼は手元の資料に視線を落とす。
「他にも言うことがあるだろ?元気かぐらい聞け!」
いつものアノレハイゼンにドキドキしながら、打ち合わせは順調に進んでいく。
そして今日の分の話はまとまったので解散。僕はアノレハイゼンにこっそり近付き、思い切って誘ってみた。
「この後、飲みに行かないか?」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈
やはり話していて口論が絶えない。でもこれが僕とアノレハイゼンだ。彼と作品を作っていた頃に戻れた気がして、頬が緩む。
「次も恋愛ものを書くことになってしまった」
いつもの口調でアノレハイゼンはぼやいた。
「良かったじゃないか」
「良くない。俺はもう書く気はない」
「?……モデルがいるんじゃないのか?」
「………」
するとアノレハイゼンは紙を取り出した。それは
おい過去の僕!!!!!!!そしてゴミ箱から拾うんじゃないアノレハイゼン!!!!!!!もうどっちをツッコめば良いのかわからないじゃないか!!!!!!
「つまり……モデルは、僕だったということか」
「ああ。……そこでだ」
アノレハイゼンが口を開く。
「モデルとして、君の時間を買いたい」
「え……?」
時が止まった。
おかしいな。彼と一緒に居れるなんて嬉しいはずなのに、心臓が凍ったように冷たい。
金銭が発生する。モデルとしてなら当然だろう。元々彼とも仕事上の付き合いだった。何も変なことは無い。
そのはずなのに、
なんで僕はショックを受けているんだ?
……恋のせいだ。きっと。
僕は金銭など関係無く、彼の傍にいたいのだ。仕事ではない、傍にいる権利が欲しい。
落描きがバレている以上、もはや隠す理由は何も無い。何も無いが、素直に告げるのはまた違う。
「……わかった。だけど条件を付けさせてもらう」
「話してみるといい」
「期間は今から1週間以内だけだ。延長は無しで、再契約もしない。そして、金銭の代わりに僕を……君の恋人のように扱ってほしい」
「わかった」
┈┈┈┈┈┈┈┈
四六時中観察できる方が良いとの要望で、1週間僕はアノレハイゼン宅で過ごすこととなった。恋人としての接し方についてを調べて僕に実践する彼は何と言うか、可愛気があるな。
中でも一番の驚きは……
「恋人とは共寝する仲だろう?」
「それはそう……かもしれないが!っておい!……寝たのか?早すぎるだろ」
一緒に寝ることになったこととか(一線は越えていない)。
例の落描きについては、もうバレているし、描いても構わないと言われたので、今でも空き時間に描いている。この癖のお陰で画力も上がったのでありがたくも思っているぞ。
今日のタスクを終え、落描きを楽しむ。そんな僕を見るアノレハイゼンの表情をまだ、知ることはない。
┈┈┈┈┈┈┈
毎日日記を付けるくらいには、とても有意義だった。そして、今日であの時から1週間後、最終日。
「執筆の確認が終わった。礼を言おう」
「アノレハイゼン」
僕は、己の賭けに負けたらしい。恋人扱いも今日で終わりだ。
「僕は、良いモデルになれたか?」
「ああ、良いモデルだった」
あの変わらない表情も、今では分かる。穏やかな顔だ。
「……君のあの絵については、特に嫌悪感は抱いていない。それに俺を見つめる君の顔は、悪くなかった」
「見てたのか!?」
「自分の役割を忘れたのか?」
いや、そうだが……。中々恥ずかしいぞ。
「……モデルの話はここまでだ」
「?」
「恋人として扱って欲しいと言われた時、普段の俺ならまず断るが、何故か受けてしまった。学ぶことも多く不慣れだったが、君との恋人の生活は心地良いものだった」
「君は鏡のようだ。俺には無いものを補ってくれる。俺が自ら体験しないことをすすめて体験させてくれる。君がいる事で俺は完成できる。俺には君が必要だ。よって、傍にいる権利が欲しい」
「もっと欲は無いのか?」
「……君が欲しい」
「対価は?勿論金だとは言わないだろうな?」
「ああ、対価として俺を差し出そう」
こうして僕は今、アノレハイゼン宅で暮らしている。勿論パートナーとして。僕は賭けに勝ったらしい!
┈┈┈┈┈┈
「悩むなら告白でもすれば良かっただろう」
「そうじゃない……気付いて欲しかったんだ。君の意思で好きだと気付いて欲しかった。僕に初めての恋をして欲しかったんだ」
「好きだとは言っていないが」
「好きではあるんだろう!!!だったら言え!!!今すぐ!!!!」
「……好きだ、力ーヴェ」
「僕も好きだ!アノレハイゼン!」
終わり
小説家×絵師 裏話(あとがき)
▸ 処女作です。絵師が小説家(原作者)へ希望を提示することなんて都市伝説レベルだと思ってはいますが、🌱は最初に🏛️の挿絵見て🌱自身の不足分に気付いていて、それで🏛️に意見を素直に述べるよう伝えた、そこから始まる話という設定です。
とにかく🌱が恋愛下手くそな描写を入れまくりました。そして🏛️が女々しい。連絡を絶っている期間の描写が少なかったので爆速再会になってしまいましたが、実は半年くらい経っているつもりです。脳内補間をお願いします…。
2023.03.24






























































